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同じエアコンでも違いがあるのか・・・
今回は、車用エアコンと家庭用エアコンの仕組みを比べてみましょう。
車用エアコンも家庭用のエアコンも冷媒が周囲の熱を奪いながら気化して、車内(部屋内)の温度を下げているという原理は同じです。しかし、暖房として機能させる仕組みが異なります。下にある冷房時、暖房時の回路図を見てください。
家庭用エアコンでは、冷房時と冷媒の流れる方向が逆になります。真夏にエアコンの室外機から温風が出ていることに気づきます。家庭のエアコンでは、同じ部品が必要に応じて、蒸発器として、もしくは凝縮器として冷風や温風を出すわけです。車のエアコンでは、冷媒の流れる方向が逆になることはありません。家庭用エアコンの仕組み上、車のような冷却水回路が無いことも要因ですが、冷媒の流れを逆にしてしまえば、暖房としての機能も果たせるということです。冷媒の流れを変える仕組みは切換弁で行い、冷房時と暖房時とで冷媒の流れる通路を切り替えています。
弁Aはスプリングによって押されているので、A室は密閉となります。吐出圧力が上昇していくとブリートポートから圧が抜けていきますが、A室は密閉のため高い圧力が維持されます。一方、B室から抜けた圧は、開放されている弁Bより圧縮機吸入口へ排出されます。A室とB室の圧力差により、ピストンは左方向に移動します。よって圧縮機から排出されるガスは室外側熱交換器(凝縮器)に流れていきます。また、室内側熱交換器(蒸発器)からの冷媒は圧縮機へ吸入されていきます。
電磁コイルにより弁Aが引っ張られます。圧縮機からの高圧ガスはブリードポートを抜けてB室に入りますが、弁Bが閉じている状態です。一方、A室の圧力は弁Aが開放されているので、圧縮機吸入口へ流れます。従って、A室とB室の圧力差が生じ、ピストンは右方向に移動します。冷房時とは、まったく逆の流れとなるのが理解できます。冷媒が流れる通路を切り替える、これが車のエアコンと家庭用エアコンの大きな違いです。