カテゴリ別
日本だけじゃなかった
今回は、海外の「延長保証」について話します。
「延長保証」はアメリカにもあり、アメリカのほうが日本よりもずっと前から「延長保証」というサービスが存在します。「延長保証」は、英語で「Extended Warranty(エクステンデッド ワランティ)」と言います。そのほか、「Service Contract(サービス コントラクト)」「Maintenance agreement(メンテナンス アグリーメント)」などとも呼ばれます。アメリカ以外の国では、ブラジル、メキシコ、イギリス、フランス、オーストラリア、マレーシアなど、延長保証が存在する国はたくさんあります。 アメリカでは、眼鏡、家具、靴などの消費財にも延長保証サービスを提供している場合があります。このような場合、家電製品のように、メーカー保証を延長するという本来の延長保証の機能よりも、延長保証は「リピーターを増やすための販売戦略の一つ」、「消費者の信頼を得るサービス」として考えられているからです。 例えば、眼鏡の延長保証の場合は、レンズやフレームが壊れた時に「販売価格の●%で新品が購入できる」「一年に数回検眼医による検診を無料で受けることができる」などです。そのほか、例えばソファの延長保証。ソファに思わずコーヒーをこぼしてしまった、傷が入ってしまった、といった場合に、その汚れや傷を専門の人がキレイにしてくれるサービスなどがあります。また、靴を販売している店が、通常の使用による摩損を購入から一年間保証するサービスなどです。 そのほかの国で面白い「延長保証」には、チリの洋服の延長保証があります。外れてしまったボタンのボタン付けや、縫い目のほつれ直し、ファスナー交換などの保証です。チリでは、ほとんどの製品に三カ月のメーカー保証が義務付けられていて、その保証を延長して合計一年間保証を提供するプログラムで、お店によって異なりますが、子供の制服や、スポーツウェア、スーツなどのフォーマルウェアに付けられています。
延長保証のビジネスをはじめるには投資費用がかかり、何よりも修理ネットワークがないと延長保証は提供できませんが、近年、南アメリカや中央アメリカの延長保証市場は、大きくなってきています。 米国の延長保証市場の規模は約5兆円、対する日本は約2000億円と言われています。日本はアメリカのカリフォルニア州ほどのサイズですから、国の規模も関係していますが、アメリカでは家電量販店などでの延長保証の売り方が日本とは少し異なることも要因です。日本では、延長保証の保証料は製品価格の約5%というイメージですが、アメリカでは10~20%が一般的。これは製品とともに延長保証を売った販売人にインセンティブが入ることも関係するということです。また、全体的に日本人のほうが物の扱いが丁寧な分、故障する頻度も少し低いということも言えます。 日本でも、「延長保証」はまず自動車や家電製品から付けられるようになりましたが、現在は補聴器や住宅設備機器にも付いており、徐々に対象になる製品は広がっています。20年前はほとんど「延長保証」という言葉を聞かれませんでしたが、今では当たり前のサービスとなり、対象になる製品も増えました。 販売店やメーカーは、高品質な商品展開とサービスの良さで生き残りが決まっていく厳しい時代。エコブームもあって、消費者も一つの商品を大切に使って長持ちさせたいという意識が高まってきています。日本でもアメリカでも「延長保証」は重要になっているということですね。